その場、時間の中で
月と旧奔別炭鉱立坑櫓(カメラで多重露出)September 29, 2024
9月の真っ青な秋晴れの午前中、北海道三笠市にある旧奔別(ぽんべつ)炭鉱立坑櫓(たてこうやぐら)へ知り合いの写真家について行ってきた。
これまで、他の写真家が撮影した産業遺産を見ることはあっても、自分で撮影しに出かけることはなかった。それはきっと、浜頓別の実家に住んでいた場所が工業地帯の雰囲気のある場所で、役目を終えた機材や資材が空き地に放置され、そのままになっている様子がずっと視界に入っていたのが、私が思うところの産業遺産になっていたかもしれない。
旧奔別炭鉱立坑櫓や旧幾春別(いくしゅんべつ)立坑櫓を見た時、鉄骨が美しいと思った。まっすぐなものは真っ直ぐ。存在はしっかりとしていて、その場と時間の一部となっている。櫓とは別の独立した存在とでもいうのだろうか。朽ちているという印象を受けなかった。実際に見るまでと印象が変わった。
撮りたいイメージがあったわけではない。晴天の下、数枚撮影したところで、先日知り合いの写真家が個展をやっていたときに教えてもらった多重露出に挑戦した。
最初は周りの植物を撮って立坑櫓と重ねてみたりした。そういえばあらかじめ撮影済みのメモリーカードに残っている写真も使えることを思い出し、探していくと先日撮った中秋の名月の写真が出てきた。暗い空に輝く月。それを重ねて撮影したのが上の写真。
実際にはみられない光景だ。それでもこんなイメージを別のどこかで見たり、頭の中で想像しているからだろうか。良いと思った。
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