皆既月食
January 31, 2018 22h34m (JST) Sapporo, Hokkaido, Japan
最初に見た皆既月食は、1990年2月10日の明け方に見られた皆既月食だった。その頃の私は中学生でカメラも持っていなく、観測手段はスケッチ。それと父が職場の人から借りてきた双眼鏡だった。
明け方だったから、おそらく2時半くらいから月を見ていたと思う。母と弟と3人で地球の影に隠れた皆既月食を見た。皆既中の月は日食と比べてゆっくりと見られる。言い換えるとその間、派手に見た目が変わるわけではない。母と弟は地球の影に隠れ切った月を見た後、布団に戻った。
私は一人、茶の間の窓から西の空にぽっかりと浮かぶ皆既の月をずっと見ていた。空は少しずつ朝を迎え、真っ黒だった空は青色を取り戻し始めた頃、皆既中の月が地球の影から外れ、月に白い光が戻り始めた。
この時の光景が今でも忘れられない。
静かな時間の中、一人で迎えた月の光の戻り。音もなく、月に光が戻った瞬間。
あれから何回皆既月食を見ただろう。
今回の皆既月食は肉眼でも赤銅色がよくわかる、綺麗な皆既月食だった。月の出の頃は空は雲に覆われてダメかなと思ったけれど、かけ始める頃には空はクリアに晴れた。寒さと乾燥のせいだろうか。赤銅色に輝いていた。食の最大の頃は流石にぼんやりと薄暗い感じはあったが。
外は氷点下。気持ち的には負けていたが、皆既月食の魅力には勝てない。窓を開けてひたすら撮影する。部屋の気温は2度になった。寒さに耐えきれずスキーウェアーを着た。
寒かったけれど、見ることができて嬉しかった。