始まりの場所
November, 2017
川の上流へ行った。
橋の上から川を見ると、終わりを迎えた鮭がいてなんだか目が離せなかった。
人が川に近づいたのに気がついた鮭は、力強い尾の一振りで川の流れの中に入って行った。
あまりにも川の水が綺麗で穏やかなせいなのと、生きている限りの強さと本能と、そういうのを垣間見たせいか、何かを目の当たりにした気持ちになった。ずっと頭の中に残りそうな。
川の上流に帰ってきた鮭を見て、生まれた場所から旅の最後は最初の場所なんだなと思った。想像とか気持ちの上でとかでなく、リアルに生まれた川に帰ってくる。
鮭の帰る川があって良かった。
帰ってきた川が、綺麗な水で穏やかで良かった。
傷ついて白くなった鮭を見れば痛々しく思う。
でも、どこか安堵の気持ちも入り混じる。
役目を果たした鮭。
そして綺麗な川、水、秋の川の穏やかな音。